これまで日本におけるカジノ営業は禁止されていましたが、2016年にIR推進法が成立したことをきっかけに、複合型のリゾートを建設することができるようになりました。
現在でも至るところで議論が続いていますが、どのようなメリットやデメリット存在しているのでしょうか。

日本でカジノを導入した統合型リゾートを導入した場合、外国人観光客増加による経済効果が期待されていたり、リゾート開発に伴うインフラ設備、地域雇用の創出などがメリットとして考えられています。
中でも一番大きなメリットとして挙げられているのは、外国人観光客の増加による経済効果です。
日本の現在では、国内の需要があまり期待できないといわれています。
高齢化や人口減少、将来への不安などからモノが売れない時代と言われていて、日本人だけで国内の経済を回そうとしても景気が悪くなる一方で、今後市場の飛躍的な拡大も見込めないため、日本人だけで日本の景気をよくするのは難しいと言われているのです。
そのため、外国人観光客にたくさん訪日してもらえる機会を作ることができる統合型リゾートに期待が高まっています。

統合型リゾートなどの大きい敷地が必要な施設は、比較的土地に余裕がある郊外に作られることがほとんどです。
郊外に作られたリゾートへ楽にアクセスすることができるようにするために、道路や駅などの交通機関の整備が行われます。
迂回しながら片道一時間かかる移動距離と交通インフラが整備されてわずか数十分でアクセスできる交通手段を比較すると、後者のほうが圧倒的に利便性が良くなります。
交通インフラが整備されるとともに、古い建造物の耐震性が見直されたり、水害が起きないようにインフラを見直すこともあります。
日本は、地震や水害などの災害が起きやすい国なので、こうしたインフラを整備する機会ができることで地域の人々がより安心して生活できるようになります。

IR推進法が成立したことでまず全国に三か所の統合型リゾートをつくろうという動きがあります。
全国に三か所しかないのに大量の雇用を生み出すことができるのか、その効果は限定的ではないかという意見を持つ方もいるかもしれません。
今回議論されている統合型リゾートは、そもそもカジノだけではなく、飲食店、ショッピングモール、ホテル、スパ、会議場など様々な施設が入っています。
実際に建設が決まれば建設関係やカジノ関係の業者だけでなく、ホテルやスパ、多くのショップや飲食店と数多くの業種の雇用が創出されるのです。
試算では1万5千人程度といわれていますが、統合型リゾートが賑わい地域の景気が上向きになればそれ以上の雇用の機会が生まれることも期待できます。

一方で、日本のカジノ導入には治安の悪化やギャンブル依存症の増加などの問題点も指摘されています。
そもそも日本ではあまり馴染みがないため、外国の富裕層が多額のお金をかけて遊ぶというブラックなイメージがついてしまっているところがあります。
しかも、大勢の外国人観光客が訪れるとなれば文化やマナーの違いからトラブルが発生して治安が悪化するのではと心配する人がいてもおかしくはありません。
治安が悪化すれば施設の評判が悪くなるうえ警備コストがかかります。
さらに、カジノができたことによるギャンブル依存症の増加も心配されています。
負けを取り返したいという気持ちから必要以上にお金を使い込み、生活苦に陥ったり、多重債務を抱える人が増えるのでは懸念する声も上がっています。
現在、パチンコや競馬などのギャンブル依存症の対策はほとんどされていない状況ですが、今後日本でギャンブル依存症の増加が懸念されるのであれば、依存症の治療などについても具体的に検討をすすめていく必要があります。